大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(ネ)1025号 判決

よつて進んで控訴人の本件賃貸借契約解除の抗弁について判断する。控訴人が被控訴人に対し昭和二十五年三月六日附内容証明郵便で、本件土地の賃料として(1)昭和二十一年九月から昭和二十三年九月分まで月額一坪につき五円、(2)昭和二十三年十月から昭和二十四年五月分まで一坪につき五円、(2)昭和二十三年十月から昭和二十四年五月分まで一坪につき年額七十一円二十銭(3)昭和二十四年六月から昭和二十五年三月分まで月額一坪につき十六円九十二銭とし、合計一万三千六百六十六円七十銭の支払を催告し、右書面到達の日より三日内に右の支払をしないときは本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしたことは、当事者間に争のないところである。控訴人は、被控訴人が右催告期間内に右催告にかかる賃料を支払わず、かつこれが現実の提供をもしなかつたから、右催告期間の経過と共に解除されたと主張するので按ずるに、被控訴人が右催告期間内に右催告にかかる賃料の全部については、これが支払ないし現実の提供をしなかつたことは被控訴人もまた認めるところであるけれども、控訴人の催告した右(1)の賃料額が過大であつたことは、適正貸料額に関する前段説示に照らして明らかであり、原審及び当審における原告(被控訴人)本人尋問の結果によれば被控訴人が右催告到後三、四日ないし一週間内に前記(2)(3)の賃料合計一万三千六百円を持参してこれを提供したところ、控訴人はこれが受領を拒絶したことが認められるから、被控訴人がたとい右催告期間内に(1)の賃料中前段説示の適正を賃料額を(2)(3)右の賃料に加えて提供しても、控訴人はこれが受領を拒否したであろうことを推認するに難くないからこのような場合は、被控訴人が控訴人請求の賃料の全額につき現実の提供はもちろん言語上の提供をしないでも、被控訴人に義務不履行の責がないものと解するのが相当で控訴人はこのような催告を前提としては本件賃借契約を解除することができないものというべきである。(昭和六年(オ)第一〇八六号昭和七年三月十七日大審院判決参照)従つて控訴人の右条件附契約解除の意思表示はその効力がないものというべきであるから、控訴人の本件賃貸借契約解除の抗弁は失当であつて、採用し難いものである。(なお本件の場合、控訴人が定めた催告期間である「右書面すなはち催告、到達の日より三日内」は当時賃料の協定が成立していなかつた事実に徴し短きに過ぐるものというべく、期間については、これを相当期間まで延長して催告の効力を認むべきであるから原審及び当審における被控訴人(原告)本人尋問の結果によつて認められる催告到達後三、四日ないし一週間内になされた被控訴人の前記(2)(3)の賃料の現実の提供は、催告に定められた相当期間内の履行の提供と解すべきものである。)

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